セッティング図ジェネレーターの使い方
はじめに
セッティング図* などの舞台図面は、演奏会開催のためには必須です。しかし、実際にPowerPoint®️などで作成してみると、
「弦楽器を円形に並べるのが大変」
「平台(※雛壇に使う木製の台)の寸法がわからない」
などと悩みがちです。
*セッティング表、舞台配置図、舞台仕込み図などとも呼ばれます。
そこで今回アマオケドットコムは、数値の設定だけでセッティング図をほぼ自動で作成できる、「セッティング図ジェネレーター」を開発、リリースしました。
Web上で使えるので面倒なインストールも一切不要。どなたでも無料でお使いいただけます。
数値を入力するだけ!シンプルな使い方
使い方はとても簡単。まずは「セッティング図ジェネレーター」のページにアクセスします。
デフォルトで、標準的な図面用の数値が入力されています。ここからみなさまの演奏会にあわせて、数値を変えていきます。
一般設定
縮尺
デフォルトは「1:100」です。図面の縮尺を指定できます。ホール側の資料も1:100で作成されていることが多いことから、特に指定やこだわりがなければそのままにしておくことをおすすめします。
紙面
デフォルトは「縦 210mm, 横 297mm」です。これはA4サイズに相当します。図面を紙に印刷する場合のサイズを指定できますが、これも、ほとんどの場合は変える必要はありません。
紙面フッター
デフォルトは「縦 30mm」です。多くの舞台図面では、紙面の下部に、演奏会の名称や日付、団体名、図面番号や図面作成日などを記しておきます。そのためのスペースをどの程度確保するかを指定できます。
紙面余白
デフォルトは「四方 10mm」です。紙に印刷する場合の四方の余白を指定できます。5mm以下にするとプリンターによっては端が欠ける可能性がありますので、ご注意ください。
舞台
デフォルトは「幅 21.6m, 奥行 11.7m」です。使用するホールの舞台の開口幅と奥行きを指定できます。これは各ホールにあわせて、必ずご指定ください。
【手順】
まず、ホールの舞台平面図を用意します。ほとんどの場合、公式サイトに掲載されています。
次に、開口幅を確認します。開口幅とはその名のとおり、舞台の前方(客席側)の幅を指します。多くの図面では、1間(=約1.8m)おきに補助線が引かれています。これをもとに開口幅を計算してください。通常、オーケストラで用いるホールの開口幅は16mから22m程度です。
最後に、奥行きを確認します。奥行きは舞台の前方ヘリ(客席側)から、正面の音響反射板までの距離を指します。同様に計算してください。通常、9mから11m程度です。
舞台余白
デフォルトは「前方 1.8m, 弦・管間 0.3m, 後方 0m」です。それぞれ、舞台前方(客席側)や弦楽器と管楽器の間、後方(正面反射板側)を、どの程度空けて奏者を配置するかを指定できます。舞台前方を指揮者が通行する場合、最低でも1.5mを確保してください。弦・管間や後方は特にこだわりがなければこのままでよいでしょう。
指揮台
デフォルトは「幅 120cm, 奥行 90cm」です。指揮台の大きさを指定できます。もしホールの資料などで寸法がわかる場合、適宜変更してください。デフォルトは標準的な指揮台の数値になっています。
指揮譜面台
デフォルトは「幅 60cm, 奥行 22.5cm, 指揮台との距離 10cm」です。指揮者用譜面台の大きさと位置を指定できます。
奏者譜面台
デフォルトは「幅 50cm, 奥行 5cm」です。奏者用譜面台の大きさを指定できます。位置は、弦楽器奏者と管打楽器奏者それぞれで別途指定できます。
弦楽器
弦座席
デフォルトは「幅 50cm」です。弦楽器奏者の座席(椅子)の幅を指定できます。
弦最前列
デフォルトは「円半径 2m」です。弦楽器奏者の最前列(いわゆるトップ)が半円状になっていますが、その半径を指定できます。通常2m~2.5m程度です。狭すぎると物理的に演奏しにくく、広すぎるとアンサンブルがしにくくなります。
弦座席ピッチ
デフォルトは「最大 120cm, 最小 100cm」です。弦楽器奏者の前後左右を、どの程度空けるか指定できます。最大値は最も舞台前方(客席側)のプルトの前後間隔、最小値は最も舞台内方(舞台中央)のプルトの前後間隔になります。通常は舞台スペースの都合上、弦楽器奏者は横長の半楕円状に配置されますが、最大値と最小値を同じ値にすると、半正円に配置されることになります。
弦列数
デフォルトは「最大 6」です。バイオリン1st(あるいはその対向にいるパート)を、何プルトで折り返すか指定できます。通常5~6程度です。
ただし、後ほど説明するPowerPoint®️連携機能を使う場合、あえて多めに弦列数を指定しておき、余分な椅子を最後に削除する方が、作図が楽になります。
弦譜面台
デフォルトは「座席との距離 60cm」です。弦楽器奏者の椅子と譜面台との距離を指定できます。
管打楽器
雛壇段数
デフォルトは「雛壇 4段」です。雛壇の段数を指定し、「決定」ボタンを押してください。オーケストラの場合、通常3~4段です。小編成の場合、まれに2段で足りることがあります。
n段目
選択した雛壇段数に応じて、各段目の平台の枚数、種類などを指定できます。
平台
平台の枚数を指定し、「決定」ボタンを押してください。
平台m枚目
選択した平台枚数に応じて、各平台の種類を指定できます。
【主な平台の種類】
六六=縦 六尺 ✕ 横 六尺(約180cm * 180cm)
四六ヨコ=縦 四尺 ✕ 横 六尺(約120cm * 180cm)
四六タテ=縦 六尺 ✕ 横 四尺(約180cm * 120cm)
三六ヨコ=縦 三尺 ✕ 横 六尺(約90cm * 180cm)
三六タテ=縦 六尺 ✕ 横 三尺(約180cm * 90cm)
三四ヨコ=縦 三尺 ✕ 横 四尺(約90cm * 120cm)
三四タテ=縦 四尺 ✕ 横 三尺(約120cm * 90cm)
四四=縦 四尺 ✕ 横 四尺(約120cm * 120cm)
三三=縦 三尺 ✕ 横 三尺(約90cm * 90cm)
【主な平台の選択方法】
通常、打楽器は六六、管楽器は四六ヨコを使用します。
ただし、舞台スペース上どうしても平台が入り切らない場合には、木管楽器(雛壇1段目)のみ三六ヨコでも許容されます。通常、金管楽器は三六ヨコでは狭く演奏できません。
いずれもあくまで標準的な場合の解説です。打楽器を四六ヨコに詰めたり、金管楽器を三六ヨコで演奏させる例もまれに見られます。また、三四や四四、三三はホールによっては用意がない、またはあっても数台しかない場合があります。
平台位置調整
デフォルトは「0m」です。平台は自動的に、舞台中央寄せで配置されます。中央よりも下手・上手に寄せたい場合(左右対称でない場合)は、下手に寄せたい場合負の値を、上手に寄せたい場合正の値を指定してください。例えば、「-1.8m」と指定すると中央より下手方向に1.8m、その段の平台が移動します。
奏者
その段に乗せる奏者の数を指定できます。
奏者位置調整
平台と同様に、奏者も自動的に舞台中央寄せで配置されます。下手に寄せたい場合負の値を、上手に寄せたい場合正の値を指定してください。
管打座席
デフォルトは「幅 50cm, 間隔 100cm」です。管打楽器奏者の座席(椅子)の幅と、左右間隔を指定できます。通常、左右間隔は100cmを下回ると演奏しにくくなります。適正な間隔は100~120cmといわれます。楽器によっても変わりますので、適宜調整してください。
管打譜面台
デフォルトは「座席との距離 60cm」です。管打楽器奏者の椅子と譜面台との距離を指定できます。
数値を入力したら、随時「プレビュー」ボタンを押して完成形を確認してください。
いつでもどこでもだれとでも!図面共有機能
作成したセッティング図を、他の人と共有する機能も充実しています。
画像書き出し
まずは画像ファイルとしてダウンロードできる機能です。「プレビュー」ボタンの隣にある「PNG」「SVG」ボタンから、それぞれ高画質* PNGとSVGファイルがダウンロードできます。
* 350dpi。印刷用途にも耐えられる画質です。
** SVGについてはこの後ご紹介します。
共有用リンク発行
「共有用URL」にアクセスすれば、どなたでも、今作成した図面をWeb上で見ることができます。
もちろん、URLを受け取った方がさらに数値を調整して再度共有用URLを発行することも可能。画像のやりとりだけでなく、URLでやりとりすることができるため、複数人で簡単に図面の共有・修正ができます。
かんたんSNS共有
SNSでの共有にも対応しています。ボタンひとつでX(旧Twitter)やFacebookに投稿可能です。ぜひお試しください。
微調整は手作業で!PowerPoint®️連携機能
ここまで「セッティング図ジェネレーター」での操作を解説してきましたが、やはり椅子や平台の位置の微調整など、ジェネレーターではなく手作業で細かい修正が必要な場合もあります。そこで活躍するのが「PowerPoint®️連携機能」です。
先ほど、「SVG」ボタンからSVG形式での図面ダウンロードが可能とご紹介しました。SVGファイルは一見ふつうの画像ファイルなのですが、PowerPoint®️に取り込むと、椅子や平台などの要素それぞれを、図形として編集できます。
実際に、ジェネレーターで作成したSVGファイルから、PowerPoint®️でセッティング図を修正、完成させる手順を解説します。
【手順1】PowerPoint®️を起動し、デザイン>ユーザー設定>スライドのサイズ>ユーザー設定のスライドのサイズを選択します。
【手順2】幅を29.7cm、高さを21cmに設定し*、OKを選択します。
* A4サイズの場合。他のサイズで作成する場合は適宜変更してください。なお、スライドのサイズ指定>A4では、正しく設定できませんのでご注意ください。必ず手打ちで幅・高さを設定してください。
【手順3】挿入>画像>画像>このデバイスから、ホールの舞台平面図の画像を挿入します。
* 高画質なPNGでの挿入をおすすめします。PDFからPNGに変換する場合には、オンライン版Adobe Acrobatなどが便利です。
【手順4】挿入>図>図形から、四角形を挿入し、高さ18cm、幅18cmに設定します。
【手順5】舞台平面図の(1間=約1.8mの)補助線10マス分と、【手順4】で作成した四角形がぴったり合うように、舞台平面図の縮尺を調整します。
ここまでで、PowerPoint®️連携の下準備が完了しました。いよいよ、SVGファイルの出番です。
【手順6】セッティング図ジェネレーターからSVGファイルをダウンロードし、挿入>画像>画像>このデバイスから、SVGファイルを挿入します。舞台平面図の補助線と、SVGの補助線がぴったり合うように、位置を調整します。
【手順7】挿入したSVGを選択した状態で、グラフィックツール>グラフィックス形式>変更>図形に変換を選択します。
ここが最も重要な手順です。ただの画像でしかなかったSVGが、PowerPoint®️上で編集できる「図形」に変身します。椅子の正円や平台の四角形などの大きさや位置、色などを自由に変更できるようになりました。
【手順8】通常のPowerPoint®️の図形と同じように位置などを調整し、セッティング図を完成させてください。
一般的な(例えばPNGなどの)画像ファイルでは、その一部を修正するのはかなり面倒です。しかし、SVGの特性を活かすことで、おおまかな図面をセッティング図ジェネレーターで作成してから、微調整は使い慣れたPowerPoint®️で行うことが可能になりました。きっと今までよりもずっと速く簡単に、セッティング図を作成できるはずです。
さいごに
セッティング図ジェネレーターは、β版として提供しています。いまだ開発段階であり、不具合なども多いかもしれません。みなさまからのご意見やご感想を、心よりお待ちしています。
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今後とも、アマオケドットコムをよろしくお願いいたします。